IA Summit 2007 | 三日目

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IAサミット最終日。本日の参加セッションは以下。

  • Designing Accesible Navigation. – Drek Featherstone (Videocasting will be available)
  • When a public administration met its citizens: Changing perspective, creating new tools. – Cristina Lavazza, Andrea Fiacchi (Videocasting will be available)
  • Information architecture meets industrial design: Working collaboratively across disciplines. – Michele Tepper (Videocasting will be available)
  • The grand challenges in information architecture research. – Don Turnbull, Karl Fast, Grant Campbell (Videocasting will be available)
  • Admin interface: The unsexy side of information architecture. – Margaret Hanley (Videocasting will be available)

Designing Accesible Navigation. – Drek Featherstone

アクセシビリティを担保しながら(=非グラフィカルな表現をしながら)ナビゲーションを機能させるにはどうしたらよいかの議論。ここでは、一般的なグローバルナビゲーションのレイアウトを例にとり、視覚的な表現によって、何が伝えられているかを分析し、グラフィカルな表現が用いれないときにどうしたらよいか検討している。

グラフィカルな要素によってもたらされているのは、

  • 階層性の表現
  • グループの表現
  • 連続性の表現
  • 構造の表現

などとのこと。逆にこれらがないときにもそこにあるunderlying semantic structure(潜在的なセマンティック構造)をいかに表現するか、がポイントとのこと。しかし、例としてはCSSを切ったときにそれでも階層構造が見えるようにレイアウトするような話になっていて、程度問題ではあるけれどやっぱり視覚的な効果を使ってるじゃん、と思った。

あと、たとえばタグクラウドなどのインターフェイスではさすがにサイズ情報がなくなると表現している意味が失われ、同じような見せ方で100個のキーワードを並べても選ぶことはできないので、こういったインターフェイスはグラフィカルな表現を前提としているものとして考えておく必要があるとのこと。

When a public administration met its citizens: Changing perspective, creating new tools. – Cristina Lavazza, Andrea Fiacchi >>

イタリア政府機関のポータルサイトのケーススタディ。コマースサイトのコンテンツの分類と主動線にファセット分類を使っている。

イタリアのCMSパッケージで実装をしているとのことだが、ファセット分類についてのケース事例というのはなかなか見たことがなかったのでいろいろと参考になった。肝となる見せ方については、ターゲットユーザー単位ごとに必要となる情報をまとめて見せる方法をとっている。

>> ファセット分類について(情報大工のひとりごと)

Information architecture meets industrial design: Working collaboratively across disciplines. – Michele Tepper >>

frog designのIA、Tepper氏による証券取引用端末を工業デザイナ(Industrial designer: ID)とのプロジェクトで開発したケーススタディ。

まず観察調査は実際に利用される6社について行っている。これはIDもIAもいっしょ。

続いての開発では、IA、IDで前提としている条件と重視しているポイントが異なるため検討が難しく、リスペクトが重要であるとのこと。たとえば、スクリーンサイズを決める場合でも観点が異なるため、難航したらしい。ポイントとしてはcontrol & constrains。プロセスと意志決定のタイミングとが一番の課題。

しかしながら、複数の観点が同時にあることでのネットワーク効果、同時検討ゆえの予期せぬ発見などは大きな成果としてあるため、今後も進めていきたいとのこと。

余談であるが、情報アーキテクチャはウェブだけの技術、方法論ではなく、情報プロダクト全般に必要とされているものである。筆者も現在いくつかそういった新プロジェクトをスタートさせているが、今後ますます必要となるであろう実感がある。AdaptivePathのJesseやIA InstituteのStacyらに米国での状況を聞いてみたが、大きなデザインカンパニーでは既に情報アーキテクチャ観点での分析・デザインを取り入れ始めているがまだまだケースは少ないとのこと。AdaptivePathでもまだそういったプロジェクトはないが、今後はぜひ取り組みたいとのこと。 他にも何人かのIAとそういった話をしたが、みな意欲を見せていた。

ウェブ以外の業種での情報アーキテクチャというトピックはここ数年で大きな流れとなるであろう。

The grand challenges in information architecture research. – Don Turnbull, Karl Fast, Grant Campbell >>

まいどおなじみのKarlやDonによる、アカデミックな観点での情報アーキテクチャの課題についての議論。話はまとまりなくすすめられたが、やはり全体としては情報アーキテクチャというものが実践的な(practicalな)分野であるため、その定義が常に相対的で(いま現在の技術と、いま何が必要とされているかに依存する)そのため、特に教育の観点からなにが必要か、ということが定義できないということが指摘されていた。

Admin interface: The unsexy side of information architecture. – Margaret Hanley >>

携帯ショップのイントラのインターフェイスの話。

Closing >> + 5 minutes madness >>

今年は570人が参加で、昨年の520人を上回り人数は増加している(日本からも3名が参加していた2002年のバルチモアが200数十名でもっとも少なかったようだ、今年は日本から3名参加)。

IA Institute自体、現在会員が1400人で、そのうち800人が昨年の新規入会とのこと。いったい去年なにがあったのか聞くのをわすれていたが、驚くべき飛躍だ。IAサミットのほうももちろん新規参加者は多いが、定番メンバーもだいぶ増えてきている。

今年の傾向としては、サーチキーワード、RIA、適応インターフェイスなどのトピックが目立っていた。ただし、これらのどれも活用できるレベルまでは知見がたまっておらず、議論といったフェーズ。特にRIAにおける情報アーキテクチャはまだ「やってみました」のレベルと感じた。個人的にはRIAは情報アーキテクチャというよりUIの話のような気もするのだが、画面要件定義=ワイヤーフレームがIAの仕事と悪しきコンセンサスにより、RIAに対応したワイヤーフレームはIAサミットのトピックになってしまう。

といったあたりの総括については、また別エントリで。

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